[海外xスマート農業の取組み] カリフラワーを摘み取るロボットの開発


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2020/10/16

カリフラワーの摘み取りは花蕾を根元から刈り取るため、ロボットで力任せに毟り取ったりすることができない人間ならではの力加減が必要になります。今回はそんなデリケートで扱わないといけない野菜や果物をピックアップする海外の最新の収穫ロボットの取り組みを掘り下げます。


カリフラワーは収穫が難しい?

現在、いろいろな国で農作物の収穫に携わる農作業員が年々不足しており、農場の経営者にとっての頭の痛い問題になっているようです。

カリフラワーは海外では人気の野菜であり、世界全体での生産量は年々増加傾向にあります。一般的にカリフラワーの蕾を食す物ですが、消費者心理において色が白ければ白いほど、枝分かれせずに密に詰まっているほど珍重される傾向にあるようです。しかしながら、アブラナ属の植物は育成中に花蕾に日光が当たれば当たるほど黄色く変色していき、蕾の部分の枝分かれを促進してしまうと最悪市場に出せなくなってしまう恐れがあります。

そのため、蕾が鶏卵程度のサイズになったときに外葉を包むように束ねて、ひもで括る作業を行い日光を遮蔽するようにするという作業を行うそうですが、自立型のロボットにどのタイミングでその作業を行うのかの判断を行わせるのはいまだ困難です。

フランスの加工野菜を扱う商社であるBonduelle社はこのほど収穫用ロボットを専門に扱う企業・
Fieldwork Robotics社との共同研究を開始し、カリフラワーの収穫までの作業を自律的に行うロボットの開発を開始しているようです。

カリフラワーの花蕾収穫ロボットはまだ試作機段階で公開はされていないようですが、実験農場レベルでは既にカリフラワーを連続で摘蕾することには成功しているようです。

なおBonduelle社側から長年の農作物作りで培ったノウハウや農場などの提供を行っているようです。様々な検証データを蓄積し、ロボットの改良やAIのトレーニングを重ねた後に、早ければ2022年始めにも実際の圃場での試験に移る予定とのことです。

さて、このイメージを大体把握してもらうために、既に先行して実用段階に達しているイチゴの摘果ロボットがどのようなものか見てみましょう。


イチゴの摘み取りロボット

Fieldwork Robotics社では世界に先駆けてイチゴの摘果ロボットを開発しています。

下の動画にもあるように、摘果用のプローブには、イチゴの果実を掴むグリッパーで摘み摂ります。

動画出典: Guardian NEWS Channel,
https://youtu.be/KFemWAXx-3I

なお、カリフラワーの摘蕾プローブには同じようなグリッパーと併せて蕾を刈りとるカッターが必要となり、イチゴの摘果よりもさらにハードルが上がるようです。

合同会社タコスキングダム|TacosKingdom,LLC.

出図:Guardian News Online,
https://www.theguardian.com/business/2020/sep/21/robots-gear-up-to-march-to-the-fields-and-harvest-cauliflowersより抜粋

現行のイチゴの摘果ロボットの性能は1秒間に2.5個の果実を摘果できるようになるそうで、これは慣れた作業員が行うよりも少し遅いペースのようです。

このロボットの仕組みとしてセンサーと3次元立体カメラを用いて、機械学習させたAIから果実を判別させているとのこと。

以前の記事で、ロボティクスとAI技術を組み合わせた融合分野は、次世代農業のコアとも言える最重要な技術であり、その応用の裾野は農業にも広がりを見せています。

合同会社タコスキングダム|緑のタコの田園地帯
[AI技術x海外] AIによる雑草の識別機能による除草作業の無人化・効率化の取り組み

AIを使ってより進化した最新の海外の除草技術とその取り組みをアーカイブします。


収穫ロボットの目指すゴール

今後は様々な収穫物に特化した収穫用ロボットの開発が行われくると予測されています。

Fieldwork社だけではなく、様々な農業系ロボティクスベンチャーが様々なフルーツや野菜の収穫をオートメーション化を目指して研究を加速しているようです。

対して、野菜や果物の収穫のほとんどが、季節性の特定のシーズンだけに労働力が必要とされる形態ですので、収穫する作業員は期間労働者などに頼る場合がほとんどのようですが、先進国を中心にその労働者の確保が年々難しい状況になってきている事情があり、今回のような収穫に特化したロボットでその労働力を補うことが可能かどうかも重要なポイントになってきそうです。

参考サイト

Robots gear up to march to the fields and harvest cauliflowers

記事を書いた人

記事の担当:taconocat

ナンデモ系エンジニア

個人レベルで可能なハイテクx農業を日々模索しています。 時折スマート農業界隈の気になったニュースなどもゆるく情報発信する感じです。