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2020/09/10
長野県は信州そばで有名な産地ですが、そんなソバの収穫にIoTを活用した取り組みのニュースが取り上げられてました。長野県松本市の株式会社かまくらやが地元の通信建設業者と共同でLPWAでのIoTネットワークを用いて、ソバの収穫時期の最適化に向けた実証実験を開始しているそうです。これまでのソバの収穫というのは、熟練のソバ農家の培った経験や感覚に頼ることがほとんどで、ベテランの領域に入らないと収穫の生産性が向上しない職人の領域と言われています。今回の試みでは、客観的なデータからソバの育成状態をモニタリングし、最適な収穫時期を算定しソバの生産性の向上を目指したソバの生産地ならではの試みです。近年就農者人口の高齢化に伴って手放され、耕作放棄地が社会問題化している頭の痛い問題ですが、かまくらや社では、このような長く使われていなかった遊休荒廃農地を借り上げソバを栽培しているそうで、現在では広いエリアに計千三百枚以上の圃場に拡大中とのこと。圃場の拡大に伴って、農作業員の労働力には限りがあるため、従来のベテランの勘に頼るやり方では効率的に収穫し、生産性を高めるのには限界を感じ、今回のIoT機器を利用したスマート農業方式を取り入れる試みに至ったそうです。
ソバの測定対象
ソバの収穫で重要な指標とされているのが、開花最盛期からの平均気温の累積積算温度、というソバ栽培独特の指標です。大体450~500度の累積温度になると刈り取りする適期とされており、この基準をより正確なデータに基づく運用がなされれば、最適な収穫時期を算出することが可能となります。かまくらや社では、今年7月から実地実験を開始し、秋そばの収穫時期の最適化の実証に向けた試みを行っている段階で、有効性が確認され次第、実際の生産体制に組み込んでいくようです。気になる測定の構成ですが、畑内の気温と湿度、日中の照度、土中の温度と水分量の5つの項目をモニタリングし、定期的にLPWAネットワークでサンプルされた測定データを15分間隔で無線により送り出している仕様になります。電源は上部に設置された太陽光パネルから供給されるため、電気配線工事も不要で一本当たりはとても簡単に設置できるように工夫されていると思います。出図: ソバ畑に設置されたセンサーノード端末、https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61945050X20C20A7L21000/
よりハードとしての費用としては一台20万円あたりで、他にIoTクラウド運用諸費が別途かかるようですが、1つのセンサーノードでカバーできる圃場面積は広く取れるので、中小規模事業者も設備投資として手が出せそうな金額かと思います。
リモートの運用
クラウド側でデータを管理しながら、会社の事務所内のパソコンやスマートフォンのアプリからリアルタイムの生産計画を構築できる体制作りを目指しているようです。出図:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61945050X20C20A7L21000/
よりこれは、以前取り上げた話題|静岡県のLoRaWANネットワークによる水田水位遠隔管理の内容で説明したリモートでの水田水位管理の運用と似ています。これからセンサーノードの設置数を順次増やしていき、効率的な運用を模索しながらソバの収穫計画に活用していく予定とのことです。いずれにせよ、今後の動向が楽しみではあります。参考サイト
ソバ栽培にIoT、長野のかまくらや 収穫時期的確に | 日本経済新聞オンライン