地方自治体から交付されるスマート農業補助金の調べ方と事例紹介


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2022/07/23
合同会社タコスキングダム|TacosKingdom,LLC.

だいぶ世の中にもスマート農業の認知度と期待が高まりつつある風潮がある一方で、当の農業従事者が事業としてスマート農業を導入するのは、未だにハードルが高いように感じられます。

若手農業従事者の中心にスマート農業への関心は高く、IT機器による作業効率化や、ドローンや作業補助ロボットなどを利用し、肉体労働負荷の低減に積極的取り組むことで、より高い生産事業計画の実現を目指すならば、それなりに「先立つもの」が必要になります。

そこで国のほうも、農林水産省を中心に、大規模な「スマート農業実証プロジェクト」を毎年一定数、公募を募り、厳粛な審査を経て、研究活動の支援金を得ることもできますが、プロジェクトに採択されるものの殆どは、研究開発活動のできる農業系の大学機関・中規模以上の農業団体や企業組織にとどまっています。

裏を返せば、元々資金力があって研究期間や人材の確保にも余裕がある団体や組織であればあるほど、さらにその組織的な資金を増強できるという性質ですので、
一般的な個人や零細農家には無縁な農業補助金と言っても良いでしょう。

では、
農家なら誰でも受けられるスマート農業補助金制度は存在しないのかというと、そういうことは無いようです。

スマート農業補助金自体の規模は小さく、応募頻度が年に数件程度、しかも実施している自治体はひと握りと、非常に限られた条件ですが、探せば必ず全国のどこかにひっそりと存在しています。

今回は、2022年7月現在で、まだ募集をかけられている「地方自治体のスマート農業補助金」がどのようなものか、ちょっとだけ気になりましたので、いくつかの具体的な事例を取り上げ、レポート感覚で記事にして紹介してみます。


ケース①「宝達志水町産地づくり事業補助金」〜石川県宝達志水町

宝達志水町産地づくり事業補助金について|宝達志水町HP

現状募集がオープンになっている中では、スマート農業補助額がもっとも大きい最大225万円の助成金となっているようです。

石川県の中部にある宝達志水町(ほうだつしみずちょう)は人口1.3人程度の町で、農業特産品としては、イチジクと葛粉用のクズがあるようです。

どのような作物でも補助金が申請できるかというとそうではなく、補助金の対象となっている作物は以下のようになっています。

対象作物

野菜

かぶ/かぼちゃ/チンゲンサイ/トマト/ミニトマト/なす/ねぎ/ブロッコリー

果樹

いちじく/柿/すもも/ぶどう

その他

はと麦/花き・花木

また、水稲に転用できる能力のあるなど汎用性のあるものは対象外です。

これらの作物に対してスマート農業の導入・実施を計画していて、そのために必要な
農業機械を導入するための費用・経費の4分の3以内もしくは上限額225万円が補助されるということです。

金額だけみると中々魅力的なスマート農業補助金案件ですが、地方自治体が実施しているため、申請のために付随する条件にハードルがあります。

応募者の条件は、
町内で事業を実施することが大前提としてあります。

また、以下のどれかに所属している必要もあります。

1. 町内に住所を有する農業者が属する地元の農業協同組合部会または生産組合に属すること

2. 認定農業者、認定新規就農者、もしくは集落営農事業者であること

3. その他町長が認めた町内の農業団体であること

これだけ条件があると適格者もかなり絞れてしまうのですが、要するにスマート農業補助金を受けるためには、最低限の条件として
町内かその近隣で農業を営んでる農家である必要があります。

このへんが地元民以外がスマート農業補助金制度に手を出しにくい大きな理由になってます。


ケース②「所沢産さといも元気掘り起し事業」〜埼玉県所沢市

所沢産さといも元気掘り起し事業|埼玉県所沢市

埼玉県の南西部に位置する所沢市(ところざわし)は、県内4位となる人口約34万人の都市です。

特産として、狭山茶で有名な茶の他にホウレンソウ、サトイモ、ニンジン等も盛んに栽培されています。

この所沢市が募集するスマート農業補助金の案件内容は、
「所沢ブランド」のサトイモの安定した生産と品質の向上を目指す農業者等の取り組みを支援するといった趣旨になっています。

ということで、補助対象の作物は、所沢市指定の品種のサトイモに限られている点がユニークな案件です。

募集要項原文ママの表現では、

        サトイモの安定した生産または品質の向上のため、
スマート農業の技術による、
生育状況の確認、薬剤または肥料の散布等の管理等
を委託する
        
という内容で、主に生育状況の管理等に関する業務に主眼が置かれ、それにかかる委託費・補助対象経費の4分の3以内かもしくは上限30万円が、申請を認可された1団体に補助されるようです。

一見、申請できる人の範囲が広そうな印象を受けますが、この「団体」という縛りがクセモノで、
所沢市の住民基本台帳に記録されている住民で構成されて、かつ、所沢市内で農業を営んでる農業者団体であること、を指しています。

極端にいうと、「地元の農業団体しか対象にならない」と言えます。

所沢市に御縁がある農家の方ならば、使えるかも知れません。


ケース③「スマート農業技術導入支援事業」〜栃木県上三川町

栃木県南部に位置する上三川町(かみのかわまち)は、人口約3万人の隣接する宇都宮市のベットタウンのひとつであり、町内の産業もバランスがとれた自治体と言えます。

上三川町が募集しているスマート農業補助事業は、現在募集のオープンになっている要項の中では、もっとも“スマート農業”らしい内容で、
3本立てでフルに活用すると最大25万円の補助になります。

        1. 農業用ドローン技術認定取得事業
    ドローンの技術及び安全な飛行に関する知識を
    習得するための受講費の補助(※交通費、飲食費、宿泊費、消費税を除く)
    補助額:経費の3分の1以内、もしくは、上限10万円

2. 環境測定装置導入事業
    ハウス内の環境(温度、湿度、二酸化炭素濃度等)を計測する機器の
    購入経費の補助(※パソコン、スマートフォン等の端末機器の購入や消費税を除く)
    補助額:経費の3分の1以内、もしくは、上限10万円

3. アシストスーツ導入事業
    農業用アシストスーツの購入の補助(※消費税を除く)
    補助額:経費の3分の1以内、もしくは、上限5万円
        
見てのように、最大25万円というのは、この3つの事業に対して、対象者は同時に全ての項目を申請しても良く、全て許可されたら最大25万円が補助されるという意味でです。

ドローンを勉強しつつ、ハウス内で作物育成をモニターしながら、アシストスーツで農作業する...という業務スタイルのマルチタスクで忙しいスーパー農家さんがいらっしゃるかは分かりませんが、スマート農業に理解ある自治体であることには違いないと思います。

このスマート農業補助金に申し込むための申請者の要件が、
上三川町に住民登録があり町内で営農している個人か、町内に登記された事務所を有した町内で営農している農業法人あることが前提となってきます。

また、個人である場合は、町の認定農業者か、認定新規就農者であり、町税の滞納がないことも必要です。

地方自治体の応募する農業補助金制度は、原則として、その自治体の住人かつその自治体内で活動することになりますが、上三川町のスマート農業補助金制度は、町内の農家のかたなら、どなたでも申請できるようになっており、スマート農業を始める上でハードルが低いと思います。

補助金額こそ低いものの、このようなコンパクトなスマート農業への支援の取り組みは、他の自治体へのモデルケースになるように思います。


スマート農業補助金の調べ方

身近なスマート農業補助金を調べる場合、もちろんお住まいの自治体のホームページをチェックされることが確実です。

ただ、社会的なライフスタイルの変化に伴い、脱サラしてスマート農業に本格参入するために適した自治体へ移住する、といった方も増えつつある現在、やはり移住先の自治体にスマート農業への理解があり、手厚い支援をしている方が安心かと思います。

そんなときに全国のスマート農業補助金を調べられる便利なサービスが、
「補助金ポータル」です。

合同会社タコスキングダム|TacosKingdom,LLC.

スマート農業に限らず、色々なトピックワードで検索することで、全国津々浦々の自治体で公募されている補助金案件を比較しながら調べることができます。

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スマート農業と検索するだけで、気になるスマート農業補助金の案件が無いか、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。

記事を書いた人

記事の担当:taconocat

ナンデモ系エンジニア

個人レベルで可能なハイテクx農業を日々模索しています。 時折スマート農業界隈の気になったニュースなどもゆるく情報発信する感じです。