[スマート農業 x AI技術] Googleの先進的農業研究の取り組み


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2020/10/17

Google社は言わずと知れたインターネット界の巨人ですが、今やIT業界に止まらず、様々な分野で野心的な研究を行っているようです。

今回は農作物の育成状態を詳細にAIとロボット管理できる最新のシステムの話題に関してアーカイブします。


ミネラルプロジェクト

このプロジェクトはGoogleの親会社であるAlphabetの子会社の一つ・X社が行っているミネラルプロジェクトと呼ばれているもので、各産業分野に革新的な技術を生み出すことを目的に掲げられたプロジェクトの中の一つです。

合同会社タコスキングダム|TacosKingdom,LLC.

出図: X company Webpage,
https://x.company/projects/mineral/

この技術を使えば、農産業分野に全く新しい植物を育てる手段を提案できるようになるものと期待されています。この四輪車型のロボットは農作物のサイズや形状の違いを判別し、植物の個別の成長状態をモニタリングすることができます。この技術の狙いとしては、農作物の育成を常に持続可能なものにして、食料生産量を増やしていくことにあるようです。

一株の植物を観察して肥料の量を決めることが果たして農場全体の植物に同じように肥料の量を決めてよいのか、遺伝子組み換え植物に置き換えたり、ほ場環境を操作することは本当に理に適うことなのか、などなど様々な疑問をいだきながらも、現行の農業用機器では農業従事者の欲しい情報が得られないため、やはり従来型の農法に頼らざるを得ないというのが現状です。

もし土壌の成分や水分量などの状態が具に分かれば、作物たちの欲しているものを細かく知ることができます。

このロボットは様々な植物の状態を読み解き、確実に成長させる方法を見つけられるように設計されています。農場内に別の種類の作物が無作為に植えられていたとしても、ロボットは自己データベース内を検証し、最適な育成条件を探し出します。

例えば、畑内に大豆の株をスキャンする場合、その株の高さ・葉っぱ・実の大きさなどを記録し、機械学習モデルによる十分な見地をえたAIからの解析結果とどのように対処すれば良いかを農作業者へ提案してくれます。このAIから送られてくる情報は多岐にわたり、害虫の発見、収穫時期や植付時期の情報、抜くべき雑草の所在、フェンスなどの補助材などの移動などなど、現在のほ場に最適かつ有用な情報が含まれているようです。このロボット自体は直接的に農作業を行うことはありませんが、農作業者の目となり耳となり、最適な農作業を提案し、作業効率・収穫率を高めてくれるとのことです。

下の動画は、実際のAIがロボットのカメラから個別に大豆の育成状態をリアルタイムに解析しているときのものです。

まだ試験段階にはあるものの、既に農場ベースの実証試験を行っており実用化も近いと思われます。このロボットの商用化のスケジュールなどは明らかにされていませんが、実証試験はアメリカ、カナダ、南アフリカとアルゼンチンなどの広い範囲で検証試験が続いているようです。

合同会社タコスキングダム|TacosKingdom,LLC.

出図: X company Blog,
https://blog.x.company/mineral-bringing-the-era-of-computational-agriculture-to-life-427bca6bd56a


国際的な農業分野へのAI熱の高まり

AIを搭載したロボットが与える農業分野へのインパクトは、農業系の国際機関・巨大企業のみならず各国政府の動向にも影響を与えているようです。

ただし念頭に入れておきたいこととして、今回紹介したようなロボットに限らないことですが、フィールドで用いられるIoT機器の抱える課題にデータセキュリティの問題があります。

悪意を持った第三者からネットワークに繋がった機器を通じて重要な情報が奪われたり、高価な機器自体が乗っ取られたり、と潜在的な危険にも晒されるのです。

特にビッグデータ技術で問題になるのは、長年をかけて収集した農作物対象からの実験測定データや、AIのモデルデータ・訓練データなども狙われやすい対象になるとも言われています。

自国のAI技術を高めようと国際的な競争も激化している中で、ビッグデータの価値も非常に高まっており、それらを保護していくのかセキュリティ面での課題をクリアしなければならないとようです。

参考サイト

Google reveals Mineral crop-inspecting robots - BBC

Embracing the complexity of nature

Mineral: Bringing the era of computational agriculture to life

記事を書いた人

記事の担当:taconocat

ナンデモ系エンジニア

個人レベルで可能なハイテクx農業を日々模索しています。 時折スマート農業界隈の気になったニュースなどもゆるく情報発信する感じです。