[スマート農業 x 話題] ぶどうの摘粒作業を効率化する粒数の自動判定AI技術を開発


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2020/09/12
2022/07/28

AIの機能向上は目覚ましいものの、まだまだ人間の手作業に取って代わる技術水準にはありません。そこで単純な作業は作業者が行い、AIに色々な作業の判断を行わせるAIアシスタント機能もスマート農業の重要な技術ターゲットのひとつです。

山梨大学と民間企業の共同で、ブドウの摘粒時の粒数を測定する人工知能(AI)技術を開発したとのプレスリリースが公表されていたので、本ブログで概要を触れておこうと思います。


技術の概要

山梨大学の研究グループと山梨県内の農業生産法人ドリームファーム株式会社とで共同で、スマートグラスを用いたブドウ摘粒の補助技術を開発したそうです。

今回のような開発中のスマートグラスを使えば、自動で粒数が表示され誰にでもスムーズな摘粒できるようになるとのことです。

また、特にブドウの摘粒の経験の浅い作業員でも、ブドウがなっている場所に視界を移すと最初に写り込んだブドウの房だけをを自動で検出してくれるため、見落としも少なくなるメリットがあります。

スマートグラスを通した作業者の視点:

合同会社タコスキングダム|TacosKingdom,LLC.

出図:
https://www.yamanashi.ac.jp/wp-content/uploads/2020/07/20200729pr.pdfより


AR技術の応用

最近では眼鏡型端末・スマートグラスもネットショップや大型の家電量販店などで売られているのを目にするようになりました。

少し前は50万円以上する大型テレビと同じくらいの値段だったような気持ちもしますが、現在は振興のメーカーなどの市場競争などがあり、数万円程度でも買えるようになっています。

スタートアップを含む海外のメーカーもある中、国産ではエプソン製の製品が手頃の価格帯のスマートグラスを販売しています。

合同会社タコスキングダム|タコキンの緑の田園地帯

スマートグラスの関連動画:

動画出典: EPSON MOVERIO BT-300のご紹介
https://youtu.be/rHJZ96KlTGI

海外勢に負けず、頑張って国産スマートグラス市場を牽引していってほしいものです。

今回の技術では、ブドウの摘粒作業というある程度の経験を必要とする重要な工程を視覚的に補助してくれるものだそうで、スマートグラスの応用に向いた分野です。

ブドウの摘粒いかんで、商品となるブドウの房の良し悪しを決定する大切な工程ですので、職人の感覚に依らなると、より付加価値の高い商品の生産に直結します。

ブドウは品種ごとに適正な粒の数が決められているためで、巨峰は35-40粒、別の品種は30粒程度など、ブドウに対する知識も必要になります。

スマートグラスを着用して作業する様子:

合同会社タコスキングダム|TacosKingdom,LLC.

出図:
https://www.yamanashi.ac.jp/wp-content/uploads/2020/07/20200729pr.pdfより

今回の技術では、深層学習によってブドウの画像データを解析したAIプログラムから、品種ごとの最適な粒数を自動で推定して、作業者にアドバイスしてくれる機能を備えているそうで、作業者はブドウの粒を丁寧に落とす作業に集中できるようになります。

なお、まだ実証試験の面もあり、AIによる粒の切り過ぎの誤判断の可能性も否めいないので、やや3個程度多めに粒を残すようにしているそうです。とはいえ、2019年までの試験で95%の精度まで判定できているので、今後はもっと高い精度での適切なアドバイス率を目指していくとのことです。

また、5Gなどの次世代移動通信システムとも連携して、サーバーからのリアルタイム通信により、画像の処理速度を向上させ、判定の精度・処理時間も短縮させるシステムを2021年夏期までに実用させることをを目指しているそうで、今後もこのようなARの応用技術を利用したスマート農業への試みが増えてくることが期待されています。


参考サイト

山梨大学プレスリリース | ぶどうの摘粒作業を効率化する粒数の自動判定AI技術を開発

“眼鏡”に予測表示 ブドウ粒数AIが判断 山梨大が開発

記事を書いた人

記事の担当:taconocat

ナンデモ系エンジニア

個人レベルで可能なハイテクx農業を日々模索しています。 時折スマート農業界隈の気になったニュースなどもゆるく情報発信する感じです。