[スマート農業@海外ニュース] iFarm社のAIとドローン技術を軸に都市郊外のオートメーション化農場を展開する事業に400万ドルを調達


※ 当ページには【広告/PR】を含む場合があります。
2020/09/02

世界の動向でみてもスマート農業を展開するベンチャーの活動が活発化しているようです。

ここでは最新のアグリテック・ベンチャーの取り組みに関する話題を取り上げてみます。


iFarm

フィンランドに本社を置くベンチャー・iFarmが取り組んでいるのが、土壌のない場所でも育成しやすい葉物野菜を垂直方式で複数段積み上げ、生産効率を上げる方式採用しています。

動画出典: iFarmチャンネル
https://youtu.be/7DHZYpPDtbg

この会社では、建物内の限定された密閉空間を最大限に活用して、独自のAIによる育成管理と、小型のドローンによる補助的な農作業を行うことで、人の手による労働を限りなく最小限に抑え込んでいることが特徴的です。

自社のHPで紹介されているように、衛生管理を徹底された野菜を消費者の近くで育てることによって、採れたての新鮮野菜をその場で消費者に提供することができるようになるため、遠い遠方の農作物生産地域から運んでくる過程を簡略化できるようになり物流コストも抑えることができるようになります。

特に、コロナ禍の現在においては、感染拡大を防ぐために人の流れを可能な限り抑制することが重要といわれていますので、生産場所と消費場所がパッケージされた技術は今の社会の流れにのって、これからさらなる成長が見込まれているということです。

iFarm社のイノベーティブは技術は実績として評価され、400万ドル相当の資金を新たに調達しています。現在のところ、作付総面積にしてのべ3000-5000平方メートル相当にもなり、フィンランドの11の農場ほか、ヨーロッパ各国と中東地域にも拡大していくとのことです。


垂直複数段方式育成システム

AIやドローン、ロボットを利用した包括的な新しい形をもった農業という流れは各国の主要都市近郊で盛んになってきており、スマート農業事業者向けのパッケージソリューションそのものを商材にする会社は、ITベンチャーにとどまらず、大手の半導体・電機・機械のメーカーや、大学・政府の研究機関なども積極的な参入がこれから多くなってくることが予想されます。

現在のAIのレベルは、まだ補助的な農作物のレベルにとどまっており、例えばイチゴを収穫して、それをコンテナに運搬し、パッケージして出荷する...という全工程おまかせという水準には届いていませんので、複数な工程は、まだまだ人の手で執り行うようです。

iFarm社の垂直複数段方式育成システムでは、長いラックで5m強の高さまで段数を積み上げるので、一般的な工場の建屋サイズでも施工可能です。

ラックの格段には、植物の育成条件などを測定するセンサーや、育成のために欠かせない自然光源に近い特殊ライトと湿度調整装置を備えているようです。ラック間には狭いため、ドローンのカメラを利用して、野菜の育成状況をモニター越しにAIが確認し、ラックの座標ごとに解析されたデータが事務所へと送られ、リアルタイムで集積できる仕組みになっています。

管理者は、野菜の大きさや重さなどのデータを判断し、収穫時期などをコントロールできるようになっているので、従来のベテランの専業農家の持つ感覚などのような経験から培われる要素なしに、最適な収穫時期などが数値的な根拠で提案されるようです。また完全な密閉された空間で管理されるため農薬などを利用せずとも害虫や病気に対する心配が低いため、無農薬栽培を実現しているので食品的にも安心安全であり、消費者にも受け入れやすいメリットがあります。

参考

Agtech Startup iFarm Raises $4M for Automated Indoor Farming | iFarm Blog (英語サイト)

iFarm Raises $4 million to automate urban farming with AI and drones | VentureBeat (英語サイト)

記事を書いた人

記事の担当:taconocat

ナンデモ系エンジニア

個人レベルで可能なハイテクx農業を日々模索しています。 時折スマート農業界隈の気になったニュースなどもゆるく情報発信する感じです。